【ネタバレ注意】Doki Doki Literature Club! 翻訳 【部室~一日目終了】
Doki Doki Literature Club!の翻訳を更新します。誤訳などあったらコメントでお願いします。
Sayori:みんな!新入部員だよ!
主人公:おい、まだ入部すると決まったわけじゃ――
え?俺は部室を見渡した。
女子1:文芸部へようこそ。会えてうれしいです。
女子1:Sayoriがよくあなたのことをお話してくれるんです。
女子2:マジ?男子連れてきたの?
女子2:雰囲気ぶち壊しじゃない。
女子3:あら、あなた!ビックリだわ!
女子3:文芸部へようこそ!
主人公:……
言葉が浮かばない。
この部は……
……カワイイ子たちしかいないじゃないか!
女子2:何見てるわけ?
女子2:何か言いたいんだったら言いなさいよ。
主人公:ご、ごめん……
女子1:Natsuki……
Natsuki:フン。
初めて会ったこの冷たい態度の女の子は、Natsukiと言うらしい。
背が低いのを見ると、きっと一年生だろう。
Sayoriによれば、この子がカップケーキを作ってくれるのだろう。
Sayori:彼女が不機嫌になったときは無視するのが一番だよ~
Sayoriは俺の耳元でそうささやくと、ほかの女子に向き直った。
Sayori:とにかく!この子がNatsuki、いつも元気いっぱいなの!
Sayori:この子がYuri、部で一番頭がいいんだ!
Yuri:そ、そんなこと言わないでください……
大人びていて臆病そうなYuriは、SayoriやNatsukiについてくのが辛そうだ。
主人公:あぁ……よろしく。
Sayori:もうMonikaのことは知ってるみたいだけど?
Monika:そうよ。
Monika:久しぶりね。
Monikaは微笑んだ。
確かに知り合いだ。あまり話したことはないが、去年同じクラスだったのだ。
Monikaは才色兼備で、クラスの人気者だった。
つまり、高嶺の花だったというわけだ。
だから、彼女が俺に純粋な笑顔を見せてくると、少し思うところもあるわけで……
主人公:ひ、久しぶり……
Sayori:まぁ座って座って!席を用意してあげたから、Monikaの隣に座ってね!
Sayori:私、カップケーキ取ってくる~
Natsuki:ちょっと!私が作ったんだから私が開けるの!
Sayori:ごめん、ちょっと興奮しすぎて……
Yuri:それじゃ、お茶も飲みますか?
この子らは机を何脚か使ってテーブルを作っている。
Sayoriが言ったように、MonikaとSayoriの横にスペースが空いている。
Natsukiは包まれたトレイを持ってきて、Yuriはクローゼットを開けた。
まだ落ち着かないので、俺はSayoriの隣に座った。
Natsukiはトレイを持ちながら、自信に満ちた顔で戻ってきた。
Natsuki:さーて、準備はいい?
Natsuki:どうよ!
Sayori:うわー!
Natsukiが包みをとると、白くてふわふわした猫型のカップケーキが沢山現れた。
ひげはアイシングで描かれていて、チョコの耳まで付いている。
Sayori:可愛い~!
Monika:Natsukiがこんなにお菓子作り上手だなんて!
Natsuki:うふふ、それじゃぁ……
Natsuki:一つ取っていいわよ!
Sayoriが一つ取り、それに続いてMonikaと俺が取った。
Sayori:おいしい!
Sayoriは口いっぱいにカップケーキをほおばりながら言った。
俺はカップケーキを眺めながら、どこからかじったらいいか考えていた。
Natsukiは黙っていた。
俺のことをチラチラ見てるのに気づかないわけはない。
俺が食べるのを待ってるのだろうか?
俺はついに一口食べた。
アイシングは甘く、ホントに彼女が作ったのだろうかと思った。
主人公:おいしい。
主人公:ごちそうさま、Natsuki。
Natsuki:なんで私にお礼言うワケ?
(こんなセリフ、どこかで聞いたような……)
Natsuki:別に私が作ったわけじゃないし!
主人公:え?Sayoriが、君が作ったって言ってたけど――
Natsuki:そうかもね!
Natsuki:でも別に、あなたのために作ったわけじゃないんだから!バカ……
主人公:わかったわかった。
Natsukiの変な論理に根負けし、会話を切り上げた。
Yuriはティーセットを持って戻ってきた。
彼女は皆の前にティーカップをそっと置き、ポットをトレイの横に置いた。
主人公:これ全部部室に置いてるの?
Yuri:ご心配なく。ちゃんと許可は取ってますから。
Yuri:それに、読書に熱いお茶はピッタリだと思いません?
主人公:あぁ……なるほど……
Monika:えへへ、そんなにビビらなくても、Yurはただあなたを感動させたいだけよ。
Yuri:そ、そんなこと……
バカにされ、Yuriは目をそらした。
Yuri:私、そんなつもりじゃ……
主人公:分かってるよ。
主人公:お茶飲みながらの読書ってのはあまりしないけど、でも少なくともお茶するのは好きだから。
Yuri:よかったです……
Yuriは安心したように微笑んだ。
Monikaは驚いて、そして俺に向いて笑った。
Monika:さて、なんで文芸部に入ろうと思ったの?
主人公:えーと……
この質問を恐れていた。
俺の第六感が、Sayoriに連れてこられたと言うなと告げていた。
主人公:俺はまだ部に入ってなくて、ここに入ったSayoriが楽しそうだったから、それで……
Monika:それでいいわ!恥ずかしがらないで!
Monika:自分の家だと思ってくつろいでね?
Monika:文芸部部長として、皆がここで楽しめるようにするのは仕事だもの!
主人公:しかし驚いたなぁ。
主人公:なんで部を作ろうと思ったんだ?
主人公:Monikaなら主要な部の役員にだってなれたろうに。
主人公:確か去年はディベート部の部長じゃなかった?
Monika:あはは、そうなの……
Monika:正直、主要な部内の駆け引きに興味なかったのよ。
Monika:イベント準備とか、予算とかの話し合いばっかりだし……
Monika:そんなのから離れて自分で楽しみたかったのよ。
Monika:それで誰かが文芸に興味を持ってくれたら、こんなにうれしいことはないわ!
Sayori:Monikaはホントにすごい部長だよ!
Yuriも頷いた。
主人公:でも部員がこれだけってのも驚きだなぁ。
主人公:これじゃ新しく部を始めるのも難しいんじゃない?
Monika:確かにそうね。
Monika:何かを新しく始めるのに全力を出す人はそうそう居ないわ。
Monika:特に皆が興味なさそうな、文芸部とかはね。
Monika:だから、やりがいを感じてもらうために頑張らないといけないのよ。
Monika:そのためには学校行事が大事なの!
Monika:私たちが卒業するまでには、この部をもっと大きくしてみせるわ!
Monika:ね?みんな!
Sayori:イェーイ!
Yuri:全力を尽くします。
Natsuki:もちろんよ!
皆が熱意をもって答えた。
一人ひとりこんなに違うのに、皆が同じゴールに向かってがんばっている……
Monikaはこの三人を見つけるのに相当難儀しただろう。
だからこそ、新入部員が入ることにこんなに盛り上がってることもうなずける。
こんなに熱意ある部員たちについていけるかは分からないけども……
Yuri:そういえば、あなたはどんな本を読むんですか?
主人公:え、あ……
これまでにいかに読書してこなかったかを考えると、なんて答えればいいか分からなかった。
主人公:漫画とか……
俺は冗談半分でつぶやいた。
Natsukiがぱっと耳をそばだてた。
何か言いたげだが、黙ったままでいた。
Yuri:あ、あまり読書はしないんですね……
主人公:善処します……
何と声をかければいいのだろう。
Yuriの悲しそうな笑顔を見て。思わず言った。
主人公:Yuriはどんなのを読むの?
Yuri:そうですね……
Yuriはカップのふちをなぞりながら言った。
Yuri:私は、複雑な世界観のファンタジー小説をよく読みます。
Yuri:作品の裏に隠されている創造性が好きなんです。
Yuri:違う世界の物語って、感動しませんか?
Yuriは熱意ある様子で続けた。
初めて会った時の彼女はおどおどしていたが、本のことを目を輝かせて話す姿を見ると、本当に本好きなんだなぁと思った。
Yuri:でも、その他のも好きですよ。
Yuri:心理学的な要素のある物語も、私没頭しちゃいます。
Yuri:叙述トリックとかも、本当にすごいと思いませんか?
Yuri:それと、最近はホラーも少し……
主人公:あ、ホラーなら読んだことあるよ。
なんとか話に参加する糸口を摑めた。
このままじゃ、Yuriは石と会話してるみたいだ。
Monika:そうなの?Yuriがホラーに興味あるなんて思ってもみなかったわ。
Monika:貴方みたいに優しい人が……
Yuri:そう思われるのも仕方ないですね。
Yuri:でも、考えさせるような物語や、他の世界に連れてってくれるような物語を貶せませんもの。
Yuri:シュールレアリスム作品も、ちょっと読んだだけで世界の見方を変えてくれますよ。
Natsuki:うげ、ホラーはきらい……
Yuri:え?なぜですか?
Natsuki:だって……
Natsukiはチラリとこちらを見た。
Natsuki……何でもない。
Monika:確かに、Natsukiはいつもかわいいものを書いてるものね。そうでしょ?
Natsuki:な、何よ!?
Natsuki:何で知ってるのよ!?
Monika:この前、部室にメモを置いていったでしょ?
Monika:あそこに書いてあった詩には――
Natsuki:大きい声で言わないでよ!
Natsuki:あと、それ返して!
Monika:はいはい~
Sayori:えへへ、カップケーキも、詩も……
Sayori:Natsukiが作るものはなんでもかわいいね!Natsukiみたい!
SayoriはNatsukiの肩に手をまわした。
Natsuki:私はかわいくない!
主人公:Natsukiは詩を書くの?
Natsuki:え?まぁ、たまにはね……
Natsuki:なんでそんなこと訊くのよ?
主人公:すごいなぁと思って。
主人公:今度みせてくれない?
Natsuki:イヤよ!
Natsukiは目をそらした。
Natsuki:だって絶対気に入らないもの……
主人公:まだ自信ない?
Yuri:Natsukiの気持ち、わかります。
Yuri:自分が書いた物を見せるのは、自信だけではどうにも……
Yuri:執筆というのは、自分自身に向けてやるものだと思うんです。
Yuri:読者には、自分の心の内を全てさらけ出さないといけないんですから。
Monika:Yuriは書いたことあるの?
Monika:貴方が作品を見せてくれたら、Natsukiも自分の作品を発表しやすくなるんじゃない?
Yuri:……
主人公:Yuriも恥ずかしいと思うんだけど……
Sayori:うう……皆の詩を読んでみたいのに……
俺たちは皆少しの間無言になった。
Monika:そうだわ!
Monika:私にいい考えがあるの!
Natsuki&Yuri:……?
NatsukiとYuriは不思議そうにMonikaを見た。
Monika:家で詩を書いてきましょ!
Monika:そして、次に会うとき皆でそれを見せ合うのよ。
Monika:これなら、皆平等でしょ?
Natsuki:うーん……
Yuri:……
Sayori:イェーイ!やろうよやろうよ!
Monika:しかも新入部員が来たことだし、これで皆の親睦を深めましょう!
Monika:それでいいわよね?
Monikaは俺に微笑んだ。
主人公:待ってくれ……まだ一つ問題がある……
Monika:問題?
これで会話が振出しに戻るわけだが、俺はぶっきらぼうに言った。
主人公:俺はまだ入部するとは言ってない!
主人公:Sayoriの言う通り来てはみたけど、まだ決めたわけじゃない。
主人公:まだ見学したい部もあるし……
何を言いたいかわからなくなってしまった。
4人の女の子は落胆した顔で俺を見ていた。
Monika:で、でも……
Yuri:ごめんなさい、私……
Natsuki:フン。
主人公:皆……
俺は無力だ。
どうやったらこの状況で冷静になれる?
詩を書いてくるだけでこんなカワイ子ちゃんたちと一緒に過ごせるんなら……
主人公:……わかった。
主人公:決めました。
主人公:文芸部に入部します。
女の子たちは皆明るくなった。
Sayori:やったー!嬉しい!
Sayoriはジャンプしながら俺に抱きついてきた。
主人公:お、おい――、
Yuri:ホントにヒヤヒヤしました……
Natsuki:カップケーキを食べに来ただけの冷やかしかと思ったわ。
Monika:じゃあ、これで正式ね!
Monika:文芸部にようこそ!
主人公:ありがとう。
Monika:さて、皆!
Monika:これで今日の部活動はおしまい!
Monika:宿題を忘れないでね!
Monika:次回までに詩を書いて、皆で読みあいましょ!
Monikaは俺を見た。
Monika:あなたの詩が楽しみだわ。
Monika:えへへ~
主人公:あぁ……
果たして、クラスの人気者であるMonikaを俺の平凡な文章力で感動させられるだろうか?
もう不安になってきた。
一方、女の子たちは片づけをしながら雑談をしていた。
Sayori:ねぇねぇ、せっかく一緒にいるんだし、一緒に帰らない?
そうなのだ――Sayoriが部に入ってから、一緒に帰ることはなくなっていた。
主人公:そうだね。どうせだし。
Sayori:やった~
そして俺たちは一緒に帰路についた。
帰り道はずっと部員たちのことで頭がいっぱいだった。
Natsuki、
Yuri、
そしてMonika。
ホントに文芸部で楽しく過ごせるだろうか?
もしかしたら女の子とお近づきになれたりして……
よし!
よりよい環境を作るために……
……まずは詩を書かないとな……